キラスタイル雑感 3
前回の続きです。
ケースに差したカード
昔からよく演じていたマジックですが、昔はスプレッドをして改めずに演じていました。
その方がスッキリとはしているのですが、お客さんからは、どうも怪しい点が残るようです。
その時に言われたのが、「選んだカードを特定の場所に持っていって、ケースに差したカードをめくる時にスリ替えた」という意見でした。
シンプルなマジックではあるのですが、「デックに無いところを見せれたら、もっと説得力が出てくるのに…」そんな事を思っていました。
そんなときに思いついた方法が、あのDVDの方法です。
隠せるうえ、そのまま何もしなくても次の準備が出来ているのです。
このマジックに最適な方法だと思います。
この方法は、別にこのマジックに限らず、例えばポケットにカードが移動したマジックにも使えて、非常に便利です。
マインド・ピーク
原理は古くからあるものですが、今まである方法ではなく、新たな方法は無いものかと模索して出来たマジックです。
メンタルチックなマジックなのに、陰でやってることがスライハンドという、ミスマッチな所も気に入ってる点です。
さらに“スライハンド”と言っても、最近見るE難度な技法で、「実際に使えるようになるのはいつだろう…」みたいなものではなく、“使えるスライハンド”なところも気に入ってます。
お客さんの方に向けて、デックを広げてながらピークする方法のいいところは、お客さんが広げたデックを見ているので、多少ピークに時間がかかっても、気にならないところです。
幸せの白いカード
古くからあるマジックを、シンプル+便利にしたマジックです。
私は邪魔くさがりなので、ちょっとしたマジックをするのにセットはしたくありません。どうせセットをするなら、それだけの結果が欲しいです。
ブランクのカードを使う事によって、いい具合にまとまりました。
古くからあるマジックを演じたことがある方なら、このマジックの便利さが分かると思います。
まぁ、ブランクカードを出して使う次点で、“特殊印刷カード”を出してるわけですから、最後のオチの衝撃度は劣りますが、ブランクカードを使う事によって生じる複数の便利な点は“有り”だと思います。
F4A
ちょっとしたフラリッシュをして、4枚のエースを出すのですが、フラリッシュでエースを出す方法はたくさんあります。
ですが、大体のものは、何枚目かをひっくり返しておくセットが必要で、そのセットをいつするか、またはどのようにしてセットするかが問題でした。
ひっくり返すセットの無いものもありますが、それは大抵がデックのボトムにエースがあり、デックをひっくり返して示すパターンです。
ひっくり返すセットが無く、ボトムを見せる以外の方法で、できるだけ大きく広がるものをと思って考えて出来たのが、このF4Aです。
シバザクラ・コインシデンス
このマジックは秘密にしておこうと思っていたマジックです。
正直に言うと、このマジック単体で5千円は欲しいところです。(笑)
前半の一致現象は昔からある方法ですが、そのマジックを演じていたとき、「全部が一致したら面白いのでは…」と思いました。
ズレているカードをパスして、全て一致したように見せてもいいのですが、なんの捻りも賢さもなく、見たお客さんは後から考えたら、「最初からあの二つは合うように準備されていたのでは…」と思われても仕方がありません。
「前半の一致現象のあと、二つのパケットを混ぜてから二つに分けたパケットの全てが一致したら面白いのでは…」と思い、試行錯誤して出来たマジックです。
ザローシャッフルのあと、カットで二つに分ける方法もありましたが、あまり面白くありません。
それでいろいろ試した結果、DVDの方法になりました。
カッチリ出来上がったのですが、マジック全体が角ばっているので、スパイスにあのフォールスシャッフルを加えて、丸みをいれました。
それぞれの技法も、いい具合にハマりました。
原案は10年以上前に考えた作品ですが、いろいろ考えて、今の手順になりました。ものすごく気に入ってる作品です。
(私は感覚でマジックを考えているところがあるので、上の文章がわかりにくいかも知れませんが、なんとなくイメージは伝わると思います。)
マジックを生み出す上で、いいバランス感覚で創作していきたいと思います。
TRICK STUDIO